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もしかしてうち、心の病気なのん・・?

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風が強くなってきたから洗濯物を取り込まなくちゃ、と思いながら改札を抜けると、携帯に留守電メッセージがあるのに気付いた。祖母からだ。ここじゃうるさいから、と急いで家に帰りメッセージを再生する。

アタラシイメッセージ ハ 1ケンデス
自動読み上げ音の後に嬉しそうな祖母の声が流れる。
 
あ、もしもし?おばあちゃんです。〇〇くん(弟の名前)元気?がそっちはまだ寒いかな?お手紙ありがとう。同封の写真ありがとね、今眺めてます。一緒に写ってる女の子は友達かな、それ以上の関係の人?素敵な女性。今度お話しを聞かせてね。もしお付き合いしているのならちゃんと責任ある行動しなさいね。それにしてもかわいい、素敵な女性です。また電話しますね。それじゃあおやすみなさい。体調に気をつけて。
 
電話を置きシャワーを浴びた。汗と一緒にこのモヤモヤも洗い流せたらいいのにな。頭と体を2回洗った。
ドライヤーで髪を乾かしながら留守電のメッセージを脳内再生してみる。弟に当てたはずの間違い電話。何度も何度も反芻するうち、手の震えが止まらなくなる。
 
時計は10時を指していた。寝るのには早いかな、とも思ったけれど、何もする気が起きない。アニメも見たくない。少し疲れているのかもしれない。電気を消して布団に潜る。
もう一度留守電の事を思い出してみる。嬉しそうな祖母の声。弟と彼女の写真。男が家族に彼女を見せるという事は終わりの始まりが秒読みということだろう。
 
こんなお兄ちゃんでごめんね、恥ずかしいからお兄ちゃんはいない事にしていいよ、ごめんなさいごめんなさい。
 
札幌に転勤している弟に向けて何度も謝る。
シャワーを浴びてもモヤモヤが消えない、毛布を頭まで被っても震えが収まらない。涙が頬をつたり枕に落ちるのが分かる。
 
涙を拭って北の大地に向けて想いを馳せる。弟に幸せになって欲しいという気持ちと、恋人どころか異性の友人さえいない焦燥感とが混ざり会う。やっぱり震えが止まらない。
 
僕は深呼吸してゆっくり目を閉じる。
僕しかいない1Kの狭い部屋に、風が窓をドンドン叩く音が響いていた。